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あおば歯科クリニック 歯周病 その3 プラークコントロール1

 

こんにちは!

小林

あおば歯科クリニック歯科衛生士の小林です。

あおば歯科クリニックの歯周病第三講座はわたくし小林が担当させていただきます。

さて今日は“プラークコントロール”について少しお話していきたいと思います。

今ではテレビのコマーシャルでも普通に耳にするようになったプラークコントロールという言葉ですが、昭和40年ごろは、まだ日本でこの言葉を歯科専門家でも聞いたことがなかったそうです。

これは院長先生の師匠、飯塚哲夫先生のお話です。フランス、アメリカと留学された飯塚先生は当時のアメリカではじめてこの言葉を聞いたのだそうです。そして帰国されてからプラークコントロールという言葉を知っているかと当時の歯科関係者に聞いたところ誰も知らなかったという話でした。

ちなみに、本当の発音はプラークではなくプラックだそうです。私たちは歯科衛生士学校でプラークと習いましたが、実際の英語の発音はプラック、ですから正確にはプラックコントロールということになります。本当はレイディオというところをラジオと言っている感じでしょうか。

ですから日本で最初にプラックコントロール(プラークコントロール)という言葉を使い始めたお一人が飯塚哲夫先生ということになります。

 

まず初めにプラークコントロールのプラークとは何か?ということを説明していきたいと思います。

このプラーク(正確にはプラックですが現在の状況を考えてプラークのほうが一般的になっていますので、プラークと表記していきます)とはいったい何なのでしょうか?

実はプラークとは細菌のコロニー、塊(かたまり)のことなんです。お口の中には様々なばい菌つまり細菌が生息しています。これらの細菌は一匹一匹生息しているわけではなく、集団で固まって生息しています。この集団をプラークと呼んでいます。最近はバイオフィルムなどと呼んだりもしています。

このプラークの中に、善玉菌、悪玉菌がいます。これは私たちのお腹のなかと同じですね。                                   そして悪玉菌の中に歯周病菌が生息していて、歯周病を引き起こしているのです。

 

皆さんのお口の中を鏡でご覧頂くと歯の付け根の歯茎に近い部分に白い塊がみえませんか?もし見えなければ爪楊枝で歯の付け根の部分を拭ってみてください。

黄白色のネバネバしたものが取れてきましたか?

 

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その塊がプラークです。

 

よく歯石を定期的にとったほうが良いというお話を聞いたことがあると思います。プラークがリン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどによって石灰化して固く石のようになったものを歯石と呼んでいます。ですから歯石の中には歯周病菌などの細菌の温床になっています。

ですから歯石を取り除かずにそのままにしておくと歯周病が進行する原因になるのです。歯石は歯ブラシでは取り除くことができないくらい固くなって歯に付着しているので、病院へ行ってキュレットという専用の器械を使って取り除かなくてはいけません。

あおば歯科クリニックでは歯周病の患者さんを歯科衛生士が担当制で治療にあたっています。私も現在、10人ほど担当しておりますが、毎日このキュレットを使って歯石を除去して歯周病の治療、予防をしています。

話しをプラークに戻しましょう。

ですから歯周病を治すためにはこのプラークを徹底的に取り除かなければいけないわけです。

 

プラークはまだ歯石になる前の段階の状態です。

この状態であれば歯ブラシで取り除くことができます。

プラークの構成成分は80%が水、残りの20%が有機質です。

この有機質の大部分が細菌なのです。このプラークが増えれば増えるほど口臭も増加します。

このプラーク1mgの中に約10億個の細菌が生息しています。

また細菌の種類も個人によってかなりばらつきがあり、同一個人でも部位によって異なりまったく同じということではありません。

 

私たちあおば歯科クリニックではプラークの性状を知っていただくために“位相差顕微鏡”というものを導入しています。

 

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位相差顕微鏡

 

患者さんのプラーク中に含まれる細菌を顕微鏡を使って検査するものです。細菌数、種類などある程度のことを把握できます。もちろんもっと正確な検査もできますが、基本的に歯周病菌検査は保険の適応外なのです。

 

お名前は差し控えますが、私の担当患者様の許可を得たうえで、実例を御紹介します。

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治療前 多数のスピロヘータ

 

最初は細菌の数が非常に多いのがわかります。クルクル螺旋形の形をしているのはレッドコンプレックスの一つスピロヘータですね。

この患者様はこの動画をご覧になって大変なショックを受けられました。その日からお口の清掃を前向きに頑張ってくださいました。1日に30分以上!それを2週間続けられました。

2週間後の写真がこちらです。

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治療後

 

別人のようですね。

本当に良かったです。患者様の笑顔が私たち歯科衛生士の励みです。

 

次にプラークの為害性についてです。

簡単に言ってしまうと為害性というのはプラークがお口の中に存在することによってどんな影響を与えてしまうのかということです。

プラークが歯肉炎や歯周炎の原因になるのはプラーク中の細菌が産出したり放出したりする物質によって歯周組織が傷害されるためです。歯周組織とは歯茎や歯を支えている歯槽骨と呼ばれる顎の骨の部分のことを意味します。

歯周病を歯茎の病気と考えている方が多いと思います。歯茎がはれたり歯茎から膿が出たりする病気だからです。ですが正確には歯周病は顎の骨が溶ける病気なのです。ですから歯周病は歯茎と骨を傷害するといったほうが明確になりますね。

プラーク中の微生物は様々の酵素や毒素を放出したり代謝産物を産生して、それが直接的に歯周組織を傷害、つまり骨を溶かします。

私たちが固いものでもしっかり咬んで食事ができるのは、歯の根が骨に囲まれて骨に支えられているからです。歯磨きが適切に行われないと、プラークが堆積し、歯茎は腫れ、出血し、支えている骨が吸収されていくのです。

 

ではどのようにすればこのような事態を予防できるのか、また治療して治していけるのか?プラークコントロールとはそのために行う行為なのです。

プラークコントロールその1ではプラークの正体を理解していただきました。プラークの中に歯周病の原因菌である歯周病菌が潜んでいて歯周病を引き起こしているというお話でした。

次回から本題のプラークコントロールについてお話をしていこうと思います。