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根管治療について 歯ぐきが腫れて痛い  その9 続き(1)

こんにちは! あおば歯科クリニック院長昆敏明です!

左下が腫れてきて治療を行っていたが一向に治らないというご相談でいらしたRさんのその後の治療経過の続きをお話しします。

まず行わなければいけない事は隔壁(カクヘキ)を作ることです。ラバーダムをしないといけないという情報がネット上にあふれています。あたかもラバーダムをしなかったので治らない、ラバーダムをしない歯医者はよくない、逆にラバーダムをすれば治るというような内容が溢れています。そもそもラバーダムをする理由はいったい何でしょうか。テキストによれば、①唾液の侵入を防ぐ②リーマーなどの器具の誤嚥、誤飲を防ぐなどと記載されています。一番重要なのは唾液の侵入を防ぐことです。だとするとラバーダム以前の問題があります。そもそも神経を取らざるを得ないような歯の状態はどこか必ず歯肉縁下(シニクエンカ)まで歯質が崩壊しています。崩壊している状態でラバーダムをかければそこから唾液が侵入してしまいます。なので崩壊しているところからの唾液侵入を防ぐためには、隔壁(カクヘキ)を作らなければいけません。にもかかわらず、隔壁の重要性を説く方がいないのはなぜでしょうか。少なくとも隔壁(カクヘキ)は必ず作る。そのうえでラバーダムをしないといけません。隔壁(カクヘキ)に関しては後日ページをさいて説明します。

理解していただきたいのは、根管治療はラバーダムをすれば治るという単純なことではないという事です。ここまでご覧いただいたケースでも、ラバーダムをすれば治ったケースがあったでしょうか。そんなことはありません。治すためにはラバーダムよりも重要なポイントがあったはずです。たとえば何はさておき根管の外に出てしまっている異物を取り除かなければ治りません。ラバーダムをかけても異物は取れません。また今回のRさんのケースのようにラバーダムを掛けようと思っても、掛けられないケースがほとんどです。仮にラバーダムを掛けれたとしてもラバーの辺縁から唾液が侵入してしまします。ラバーダムをする必要はないと言っているわけではありません。あおば歯科クリニックでは可能な限りラバーダムはします。ただし、隔壁だけは保険治療でも自費治療でも30年間100%作ってきましたし、これからも作ります。保険で30年間も費用を一切頂かないで隔壁を作ってきたのはおそらく日本で私だけなのではないでしょうか。これも自分がやってほしくない治療 ワッテ 脱脂綿を入れられたことへの強い当惑感、悔しさ、無念さのような感情がそうさせてきたのかもしれません。この問題に関しては後日ページをさいて説明します。

Rさんの隔壁を作った状態です。

元の状態と比べてください。

これでラバーダムを装着することが出来るようになりました。辺縁からも唾液が侵入しなくなります。

問題は骨の中に突き出ているガッタパーチャポイントです。これだけの長さが突き出ていると私でも簡単にとることは難しいケースでした。根管内のガッタパーチャポイントは取れました。根管外のガッタパーチャポイントも短い方は1本取れています。

一番最初に撮影したレントゲン写真です。短い方がなくなっているのが分かります。

その後もう1本の長く突き出ているガッタパーチャポイントも取りました。

除去したガッタパーチャポイントです。長い方です。

これが根管外、つまり下顎の骨に突き刺さっていたのです。

下のレントゲン写真は根管通過法(コンカンツウカホウ)を行った際の確認の写真です。根管通過法とは意図的に病巣部に薬剤を注入し根尖部の治癒促進を図る治療法です。根尖部に膿が貯まったりして炎症が起きている場所をよく考えてください。そこは顔の骨の中なのです。手や足のことを考えてみてください。手や足の骨の中に膿が貯まって炎症を起こしていたらどうしますか。当然その骨の中の膿の部分を取り除いたり薬で消毒したりします。骨の中の問題ですから骨の中の異物を取り除き、薬を入れるのは医学的根拠に基づいています。根管通過法に関しては後日詳述します。

マイクロスコープでガッタパーチャポイントが除去できたかどうか確認しています。

きれいに取れているのが分かります。

根管通過法を行うところの写真です。フィステルが見えるようにするためにラバーダムを外しています。ラバーダムを外してはいますが、しっかりと隔壁を作っているので唾液の侵入は一切ありません。

赤矢印の部分です。ここにフィステルができています。フィステルというのは骨の中にたまった膿が、骨を突き破って歯ぐきの下に貯まっていき、それが風船が大きく膨らんで限界に達し、破裂したその裂け目のような穴のことを言います。なので骨の中の炎症を治さない限りその裂け目からずっと膿が出続けます。

根管から入れた薬剤が根尖から出て、骨の中の膿の袋の中を通過してフィステルから出てきています。矢印の部分です。

日を改めて再度根管通過法を行いました。

フィステルから出てきている薬剤が骨の中に入っていた腐敗物を押し出して出てきているのが分かります。黒い部分です。

その後、仮歯を装着し経過観察を行いました。フィステルが治癒しているのが分かります。

矢印の部分にフィステルがありましたが、どこにフィステルがあったか分からないほど治っています。

ですがこれで完治したわけではありません。事前にCT診断で広範囲に骨吸収が生じており、外科手術を行って骨再生を促進した方が予後が安定します。

この後、外科手術に臨みました。