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根管治療について 歯ぐきが腫れて痛い その9続き(2)

こんにちは!あおば歯科クリニックの院長昆敏明です。

左下が腫れてきて治療を行っていたが一向に治らないというご相談でいらしたRさんのその後の治療経過の続きをお話しします。フィステルまで治しましたね。本日は骨再生を促進させるための外科手術についてお話します。少し専門的になりますが、大事な内容なのでお付き合いください。

骨が再生するというお話をすると驚かれる患者さんが多いのですが、骨は再生します。これまで私共では数えきれないぐらいの患者さんの骨再生を行ってきました。歯周病にしても根尖病巣にしても骨が再生するかどうかがポイントとなります。

骨再生についてご説明する前に、骨が吸収するパターンについてお話します。骨吸収は大きく2つのパターンに分けられます。水平性骨吸収と垂直性骨吸収の2つです。このうち水平性骨吸収は現在の医学でも骨は再生させることが出来ないことが分かっています。骨再生が期待できるのが垂直性骨吸収です。この垂直性骨吸収はさらに1壁性骨欠損(イッペキセイコツケッソン)と2壁性骨欠損(ニヘキセイコツケッソン)、3壁性骨欠損(サンヘキセイコツケッソン)に分類されます。さらにそれぞれの骨欠損形態の中間形態も存在するので2.5壁性骨欠損なども存在します。ですがここでは理解しやすいように1から3までの骨欠損形態だけにとどめます。この3つの形態のうち、最も骨再生が起こりやすい形態は3壁性骨欠損です。2壁、1壁と壁の数が少なくなるほど骨再生がしにくくなります。また同じ3壁性骨欠損でも骨欠損の幅や深さによっても再生の起こりやすさが変わってきます。乱暴な言い方をすると3壁性骨欠損は外科手術をしただけで骨が再生する可能性が高いです。しかし2壁性骨欠損、1壁性骨欠損は外科手術だけでは再生させることが非常に困難なことが多いです。そのような悪条件でも骨を再生させることが出来るのが現在の骨再生医療です。

実は今回のRさんの骨吸収は外科手術を行わなければ骨再生しないケースでした。実際の写真を見ながら解説します。

歯肉を切開剥離したところです。

骨吸収が生じている部分を黄色で囲みました。膿が貯まって不良肉芽(フリョウニクゲ)化している部分が緑色矢印です。

 

のう胞と不良肉芽(フリョウニクゲ)を掻把(ソウハ)しました。

CTでの診断通り健全な左下3番の遠心側の骨が完全に吸収されていて歯根面が見えています(緑色矢印)。さらに唇側面は歯根表面が透けて見えるほど骨吸収が進んでしまっています(黄色囲み部分)。

左下4番を見てみましょう。根尖にかけて大きな空洞になっているのが見えます。問題は黄色部分の囲みです。実はこの黄色で囲んだ部分の骨が破壊されてしまうとほぼ骨を再生させることが出来ません。

根尖病巣と歯周ポケットが交通してしまうとほぼ抜かれます。診断さえつけられずに歯周病と誤診される患者さんも多いです。特に今回のように長期間適切な処置を受けれずにいると骨の実質欠損が生じてしまい、もはや何をしても骨再生が難しくなってしまうのです。

Rさんのケースでは術中根充を行いました。MTA単独で根充しています。

この後、この酷い骨欠損を再生させるための処置を行いました。ボカシが入れてある部分です。現在私どもが行っているこちらの方法はどこのテキストにも書かれていません。詳細にその方法を記載することは控えさせてください。抜歯と言われていて相談をしたいという方には直接ご説明していますので何卒ご了承ください。

最後は縫合して無事完了しました。

その後の経過は大変順調でした。かぶせものも入り現在では何でもおいしく食べられるそうです。