ケース4 根尖病巣とパーフォレーション治療で治癒
年齢 54歳
性別 女性
主訴 上の前歯にセラッミクを入れたが腫れておできが出来たが「痛くなければこのまま様子を見る」と言われたが、本当に治らないのか知りたい。
現状 右上2番歯頚部よりにフィステルがある
【透過像が根尖と近心側の2か所に存在】
診断 根尖の病巣はガッタパーチャポイントが明らかにアンダーで空所が認められる。近心側は側枝の可能性、パーフォレーションの可能性がある。フィステルは根尖部ではなく歯頚部に近い部位にあるので近心側の方から由来している可能性がある。
治療期間 2か月
治療費用 保存治療 110,000円 パーフォレーションリペア 33,000円
治療経過 セラミックを除去し土台も除去し、隔壁作成後ラバーダム下にて感染根管治療を開始。前医のガッタパーチャポイントを除去。
【前医のガッタパーチャポイントを除去中】
前医のガッタパーチャポイントを慎重に除去したところ、近心根管中央寄りに出血点がありパーフォレーションと思われる径2ミリほどのホールを発見。根管通過法を行ったところパーフォレーション部と根尖から水酸化カルシウム製剤が溢出。
【黄色矢印部分から溢出】
その後パーフォレーション部はMTAにて封鎖を行う。
【黄色矢印部分がMTAで封鎖した部位】
【4年後のレントゲン写真 パーフォレーション部の骨再生が見られる】
【11年後のレントゲン写真 再発もなく予後は良好】
考察 30年前、逆根充やパーフォレーション部の修復に使用する充填材料はアマルガムだった。グラスアイオノマーセメントも使用したりしていたが、これという決定的な材料は存在しなかった。MTAが開発されてからはほぼパーフォレーション部にはMTAを使用するようになった。この材料の性能は過去のどんな材料よりも優れている。欧米では普通に使用されていいるこのMTAがなぜ日本では根充、パーフォレーション部の使用について厚生省から認可が下りないのか大いに疑問である。この優れた材料の恩恵を保険で(持続可能な適正な保険点数で)すべての患者さんに使用できるように厚生省には望みたい。