ケース6 土台が外せなくて痛みが治まらなかったケース
某大学病院から転院してきたM様のケース
年齢 46歳
性別 女性
主訴 左下の奥歯が突然腫れて痛くなってきたので、某大学病院の歯内療法科を受診した。担当の先生に「根っこの先が化膿しているので、土台を外して膿を出します」と言われたが、2時間かかっても土台が外せなくて薬だけ出されたが痛みが治まらないので診てほしい。
現状 左下5番が残根状態で根尖部が腫脹、自発痛を訴えている。根管内を肉眼で目視すると除去できなかったと思われるメタルコアーが残っているのが確認できる。
【残根、いわゆるC4状態】
【根管内底部に金属が光っているのが分かる】
【ポスト底部に取れなかったメタルコアーと根尖に病巣、近心の根管壁が異常に薄い】
【赤矢印 取り切れていないメタルコア―】【黄色囲み部分 根尖病巣】
【緑色矢印 異常に薄い根管壁】
診断 ガッタパーチャポイントが根尖付近まで到達していないことから感染を起こしている。近心の異常に薄い根管壁はメタルコアーを除去する際にパーフォレーションを起こしている可能性がある。通法通り治療すれば治癒する。ただし歯肉縁下まで歯質が失われているので、根管治療が落ち着いたら臨床的歯冠延長手術は必要。
治療経過 まず大学病院で除去出来なかったメタルコアーを除去。
【メタルコアーを除去した根管内】
その後ガッタパーチャポイントも除去し、電気的根管長測定器とレントゲン写真を併用して根管長を測定。
【根管長を確認】
近心の根管壁はパーフォレーションを起こしていたのでMTAにて処置。
【根充 病巣にもMTAが入っている 近心の根管壁はMTA】
【2年後】
近心のパーフォレーション部も治癒。根尖にあった病巣も影が消失。骨が再生した。