ケース5 薬で様子を見ましょう
年齢 35歳
性別 女性
主訴 上の前歯が腫れて痛かったが我慢していたら潰れて膿が出た。その後ニキビのようなおできが出来たので歯医者に行ったが、「薬で様子を見ましょう」と言われて抗生剤をのんだがおできが治らない。
現状 右上2番の根尖付近にフィステルが存在。自発痛や咬合痛はない。
【右上2番】 【左上2番】
【右上2番根尖病巣】 【左上2番根尖病巣】
診断 フィステルは右上2番由来 根充剤が根尖まで充填されていない 主訴ではないが左上2番にも根尖病巣が認められる。通法どうり保存治療を行う。
治療経過 左右ともクラウンを除去、土台のメタルコアーも除去。前医のガッタパーチャポイントも除去し、水酸化カルシウム製剤で根管通過を行う。
【左右ともに根尖病巣に水酸化カルシウム製剤が入っている】
【6年後】
【左右ともに根尖病巣が治癒 骨が再生】
【右上2番 治療前】 【右上2番 治療後】
【左上2番 治療前】 【左上2番 治療後】
治療その後 治療から6年経過するが再発することなく順調に経過 そもそも抜髄時にきちんと治療が行われていればこのような根尖病巣は生じなかったと思われる。もちろん抜髄は理論的には根管の解剖学的形態を考えれば100%の成功はないわけだが、それを言い始めればすべての処置、手術等で100%の成功があるかと言われればそんなわけはない。ただし保険だから出来ないというのも言い訳だと考える。保険だと出来ないというドクターは自費でも出来ない。機械や薬剤が最新であれば必ず治るというわけではない。普段まずい料理を提供しているシェフが、お金を出すから明日世界一の料理を作ってくれと言われても出来ないのと同じである。普段から保険で適当な治療をしているドクターがお金を出すからと言って治せるかといったら治せない。普段からきちんとした仕事をしていていざというときにも対処できるのがプロではないだろうか。