ケース8 レーザーを当てて様子をみましょう
年齢 42歳
性別 男性
主訴 右上の奥歯におできが出来たので、歯医者に行った。レーザーを当てましょうと言われ数回レーザーを当てたが治らない。
現状 右上歯肉にフィステルが存在。右上4番の根尖病巣が原因と思われる。
【右上4番根尖外に不透過像が出ている】
【赤矢印 赤矢印の先にも小さな不透過像が確認できる】
治療方針 保存治療を行い、根尖外に出ている異物は外科的根管治療を行う
治療経過 通法どうり冠の除去後、前医のガッタパーチャポイントも除去。
【予想通り根管外の異物除去は困難】
外科的根管治療を行う。出てきた異物はユージノールが固化したものと思われた。
【摘出した異物】
【術中根充を行う】
【骨再生療法】
【治癒】
【異物も除去し骨再生が見られる】
【治療前】 【治療後】
考察 レーザーを当てたがおできが治らないと相談されたことがこれまでに何回かあります。どの患者さんもおできは治っていませんでした。フィステルの原因は根管内の細菌感染です。その根管内をきれいにすることなく治るはずもありません。また長期間経過したケースでは根管外にも細菌感染が及んでおり、根管外の細菌感染も何とかしないといけません。歯ぐきの表面にレーザーを当てることに意味があるとは思えません。患者さんの中には最新機器で治療してもらったのに治らないと訴える方もいらっしゃいました。ですがそもそもレーザーが最新機器と信じ込まされているように思えてなりません。私が初めてCO2レーザーを使用したのは今から30年以上前になります。当時は確かに最新機器で、ハンドピースも肩にかけて照射していました。そのハンドピースも今は鉛筆の大きさになりました。しかし中身はほとんど変化していません。30年以上前から使用されている機器を最新機器と呼ぶでしょうか。
あおば歯科クリニックでも各種レーザー機器を揃えており、症例によって適切にレーザー照射を行っています。しかしレーザーだからと言って決して万能ではありません。ないよりはあった方が便利ぐらいな感じです。
最新機器などという言葉に振り回されず、しっかりと足が地に着いた治療を心がけたいものです。