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ケース9 根の治療をしているが、痛みが引かない

年齢 65歳

性別 女性

主訴 右下の歯に激痛が出てきたので、歯医者に行ったら歯の根が化膿していると言われ根の治療を始めたが、痛みが治まらない。

現状 右下6番の頬側が腫脹しており、強い打診痛がある。自発痛も強く鎮痛剤を服用しても2~3時間しか効かない。

 

【ストッピングのようなもので仮封してある。遠心側には歯肉ポリープ様のものが見られる】

         

 

          【黄色矢印 遠心側歯肉ポリープ】

         

 

          【分岐部に透過像がある】

          

 

          【黄色囲み部分 分岐部透過像】

          

【CT画像 遠心根の近心側から舌側にかけて骨が消失 頬側骨は完全に消失しており歯根が露出している】

          

 

            【赤矢印 骨消失部分】

          

治療方針 まずは痛みを取り除くこと。遠心の壁から歯肉ポリープが見えている状態で根管治療ができるとは考えられないので、髄腔内がどのようになっているのか現状把握して、保存できるかどうかを診断する。

治療経過 近心根、遠心根に入っていたガッタパーチャポイント等を除去し、根管を開放した時点で自発痛が消失。遠心の歯肉ポリープは切除し、隔壁を製作し遠心壁からの唾液侵入を防止。保存できる可能性が出てきたが、根分岐部病変の骨が保存治療だけで再生する可能性は低いので外科的根管治療の説明も行い同意を得られたので、感染根管治療を開始。

【前医のガッタパーチャポイントを除去し根管開放】

          

 

          【リーマーにて根管長の確認】

          

 

          【水酸化カルシウム製剤で仮根充】

          

 

         【手術中 遠心根の近心側の骨が消失している】

         

 

              【黄矢印 骨消失】

         

 

               【骨再生療法】

         

 

               【縫合時】

         

 

               【術後1か月半】

         

 

          【補綴後 分岐部の透過像が消失】

          

 

           【治療前】       【治療後】

 

  

考察 根分岐部の透過像が歯周病由来であったのか根尖病巣由来であったのか判断できないケースであった。ただし通常の歯周根尖合併症は根管治療を適切に行えば治癒します。今回のケースは根分岐部のポケットと完全に交通しており、しかもそれが長期間放置されたと思われるので、根分岐部の骨欠損は歯周病の分岐部病変で骨を再生させる処置を必要としました。