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根管治療について 膿が貯まって痛い その13

2024/11/10

こんにちは!あおば歯科クリニックの院長昆敏明です!

根管治療について私共のクリニックで実際に助けることが出来たケースをご紹介してきました。お問い合わせが非常に多いです。「歯医者さんて怖いですね」「安心して歯医者にかかれないです」「歯科医師と呼ばれる人が行うようなことではありませんね。信じられません」など様々な感想をいただきました。

私も苦学してやっとなれた憧れの歯科医師がまさかこんなレベルだったとは知りませんでした。皆さん、とても優秀だと思っておりました。実際、東北大学に入学してからは驚きの連続でした。新潟の片田舎では見たことも聞いたこともない優秀な級友達に囲まれた時の驚きは大変なものでした。ですが私自身も獨協大学時代、神経を取ってもらった後、薬ではなくただの綿(ワッテ)を詰められていた経験をしています。さらにそれを治してもらおうと相談した歯医者二人に「根は何ともない」と言われました。自分が歯科医師になってわかるのですが、当時あの二人の歯医者さんは、私の根っこの中に薬が入っていなくて、スカスカだったことはレントゲンを見て知っていたはずです。ですが治すことができない、治すのが難しいので「何ともない」と言ったに違いないのです。歯科医師は、高い診断能力とそれに基づいて手を動かす技術力がないとできない、だから立派な仕事、尊敬される仕事だと思っていたのですが、とんでもない間違いでした。なぜ歯医者がこんなことを平気で行うのか、師匠の飯塚哲夫先生に出会うまでその疑問は解けませんでした。歯医者ってどんな人たちなのかというお話は後日詳しくしたいと思います。

7年前に左下4番の感染根管治療を行ったTさんのケースをご紹介します。どちらかで神経を取る治療をした。その後数年何もなかったが、突然腫れてきたので受診したが、根っこが割れているので治らない、抜歯と言われたという事でした。あおば歯科クリニックにはセカンドオピニオンで来院された方です。レントゲン写真を撮りました。

左下4番の近心に透過像があります。かなりの大きさです。小豆の大きさぐらいはあります。実際の歯根のう胞の大きさはレントゲン写真で見るよりも大きいと言われています。これはわたくし自身の経験でもそうだと実感しています。

赤線の部分が歯根のう胞です。

通常歯根のう胞は根尖(コンセン)、つまり根っこの先に出来ることが圧倒的に多いです。

赤の矢印部分です。根尖(コンセン)に黒い影があります。根の先ですね。通常は根の先にのう胞が出来ます。

   

ところが根尖(コンセン)ではなく、側方にのう胞ができる事がまれにあります。この場合は歯根破折も考えられるのですが、側枝(ソクシ)の存在も考慮しないといけません。側枝(ソクシ)というのは、主根管が枝分かれした細い根管のことです。抜髄の時に説明しましたが、神経が走行している根管は真っすぐ一本ではなく複雑に枝分かれしています。その枝分かれしている細い根管を側枝(ソクシ)というわけです。

今回のTさんのケースはおそらく側枝(ソクシ)から感染したケースではないかと疑われます。

側枝(ソクシ)が原因で腫脹したケースをご紹介します。当時中学3年生のS君が上の前歯が腫れて痛いと急患で来院したケースです。

レントゲンを撮りました。下の写真の一番右端の歯に痛みがあります。レントゲン写真では何も異常がないように見えます。一番右の歯の歯冠部に白い不透過像があります。その所見から歯冠部にかなり深いレジン充填が行われているのが分かります。

赤矢印部分です。

電気歯髄診断をしたところ反応が全くなかったことから失活歯と判断し、根管治療を開始しました。髄腔開拡(ズイクウカイカク)し、根管長を計測しているレントゲン写真です。一見どこにも病巣らしき影は認められませんがよく見てください。

赤矢印部分です。

側方にごく小さい透過像が認められます。赤囲み部分です。

根管通過法を行いました。お分かりでしょうか。これが側枝(ソクシ)です。

赤矢印

根充後のレントゲン写真です。

側枝由来の病巣が縮小して骨が再生してきているのが認められます。

Tさんです。破折の疑いもありましたが、側枝(ソクシ)の可能性が高いことを説明し、納得されたので治療を開始しました。外科的根管治療は出来るだけ避けたいというご希望がありましたので、根管通過法を何度か行いました。2017年から治療を開始しました。

破折している箇所から薬剤が出ているのか側枝からでているのかもはやわからないぐらい出ています。少なくとも3か所から溢出しているのが認められます。

何度か根管通過法を行い、病巣に縮小傾向が認められたため根充を行いました。

 

2018年翌年のレントゲン写真です。明らかに歯根のう胞が縮小しています。

さらに2019年、1年後のレントゲン写真です。さらに縮小しています。

2020年のレントゲン写真です。さらに縮小して来ています。

2022年のレントゲン写真です。確実に良くなっています。Tさんの自覚症状は全く何もありません。治療開始してフィステルが消失してからは腫れた感じもなくなっています。

指摘されなければ認識できないくらい縮小しました。赤囲み部分です。

腫れて痛かった時に他院で割れているから抜歯と診断され、セカンドオピニオンでいらしたTさんでしたが、抜かずに治って本当に良かったですね。