含歯性嚢胞(がんしせいのうほう) お口の良性腫瘍 その4
こんにちは! あおば歯科クリニックの院長昆敏明です。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)の続きです。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)はれっきとした良性腫瘍です。
ですから、摘出手術をするか、開窓手術(かいそうしゅじゅつ)後嚢胞(のうほう)が縮小したのを見計らって摘出するか、開窓手術(かいそうしゅじゅつ)後埋伏歯を誘導して萌出させるか しないといけません。
嚢胞(のうほう)自体は、緩慢に成長して骨を溶かして増大していきます。
成長、増大していく途中何らかの原因で感染を起こすと、大きく腫れて化膿して来院する患者様もいます。
ですから、そのまま様子を見る ということは原則ありません。
中学校一年生の男の子です。
上の前歯の乳歯が抜けない ということでした。
左側は永久歯の犬歯が生えていますが、右側は乳犬歯がそのまま残っています。
乳犬歯と第一小臼歯のすぐ上に何かありますね。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)です。
犬歯の歯冠部がはっきり嚢胞腔(のうほうくう)に包まれているのがわかります。
歯のように見えないのは、歯の頭と根が水平に埋伏しているからです。
親知らずの横位埋伏(おういまいふく)のようなものですね。
第一小臼歯の歯根が嚢胞(のうほう)の影響なのか、まだ歯根が未完成なのか判然としませんが、吸収されているようにも見えます。
ご両親とよく相談させていただきました。
結論は、嚢胞(のうほう)ごと埋伏歯を摘出する ということになりました。
ご両親も相当悩まれたようでした。
ご両親が最終的に判断したのは、残っている乳犬歯でも見た目がほとんどわからない というものでした。
粘膜を剥離すると、すでに骨が膨隆(ぼうりゅう)していました。
埋伏歯が見えています。
嚢胞(のうほう)と埋伏歯を摘出しました。
中学校一年生ということもあり、術後は腫れもなく、疼痛も軽微なものでした。
Tくん、早くわかって、治ってよかったね。
つづく