含歯性嚢胞(がんしせいのうほう) お口の良性腫瘍 その5
こんにちは! あおば歯科クリニックの院長昆敏明です。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)の続きです。
含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)と似た歯原性嚢胞(しげんせいのうほう)に萌出性嚢胞(ほうしゅつせいのうほう)があります。
これは乳歯の歯嚢(しのう)がそのまま残ったものです。
萌出性嚢胞(ほうしゅつせいのうほう)になると乳歯が萌出してきません。
なんとなく盛り上がってはいるものの、生えてこない。
こんな時もいたずらに様子を見るのではなく、開窓(かいそう)してあげたほうが良いことがあります。
40代の男性です。
左目の下(左眼下)が突然腫れてきました。
お口を見ると左上第二小臼歯の根尖部が大きく腫脹しています。
第一小臼歯の含歯性嚢胞(がんしせいのうほう)と思われる埋伏歯があります。
嚢胞(のうほう)が第二小臼歯の根尖部を侵しているように見えます。
第二小臼歯の歯髄はすでに壊死(えし)を起こして感染していました。
第二小臼歯の直下に第一小臼歯がありますね。
感染を起こした第二小臼歯を保存すべく、感染根管治療(かんせんこんかんちりょう)を行いました。
その後、嚢胞(のうほう)と埋伏歯の摘出手術を行いました。
摘出手術後です。
第一小臼歯がもうありませんね。
第二小臼歯も根っこの治療が終わり薬が入っていますね。
白く映っているのが薬です。
手術はちょっと大変でした。
最初、頬側(きょうそく)からアプローチしたのですが、歯冠が口蓋側(こうがいそく)を向いており、改めて、口蓋側(こうがいそく)からアプローチして摘出手術を行いました。
当時、CTがあればもっと正確に診断ができたと思われます。
まだCTが普及していなかった頃の手術でした。
Kさん、あんなに腫れていたのが治って本当によかったですね。
歯も抜かずに済んで本当によかったです。
つづく