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根管治療について 膿が貯まって痛い パーフォレーション その8

こんにちは! あおば歯科クリニックの院長昆敏明です。

本日も根管治療についてお話していきます。今回のケースは抜髄した後、土台を作る際に生じた医原病です。歯科業界でいうところのパーフォレーションに分類されるケースかもしれません。ですがこんなケースもあるんだという事を知っていただきたい。こんなケースでも治せるんだという事を知っていただきたい。そして抜歯と言われても諦めずにご相談してほしい。そういう気持ちで今回こちらのケースを公開しました。右上歯ぐきが腫れて痛いというSさんのケースです。なおパーフォレーションに関しては大きなテーマなので後日お話をします。

その前に私の実体験の続きをお話しします。

院長先生の身に起きた本当の怖い話

今度は治してもらえるのではないかと期待を抱きながら、「歯の根っこがおかしい気がするので、根をよく見てください」と担当の歯科医師に伝えたにも関わらず、「根っこは何ともありませんね」「冠だけ変えましょう」と言われてしまい、治すのを諦めてしまったのでした。東北大学歯学部生になって、なぜ抜髄が上手くいかなかったのか、なぜ何件も相談に行ったのに治してくれなかったのかという歯科の闇を知ることになるのです。東北大学歯学部生になった私は左上第一小臼歯のことを忘れてはいませんでした。歯学部で歯科について知識が得られると、歯の根の重要性について理解が深まっていきました。自分自身の身体に起こっていることが理解できるようになってきたのです。抜髄に何か問題があったに違いないと。そこで級友に相談したところ、東北大学の先輩で開業されているS先生が根管治療が上手いとS先生を紹介してもらったのです。そこで私の歯に起こっていた衝撃の事実が明らかになるのです。この続きは後日しますね。

 

右上歯ぐきが腫れて痛いが、抜くしかないと言われた50代女性Sさんのケースをご紹介します。レントゲン写真を撮りました。

パーフォレーション

何が原因で腫れているかお分かりでしょうか。一見何が起きているのかわかりません。神経を取った歯は通常土台(ポストとも言います)を立てます。どうも土台(ポスト)が遠心の歯根の壁から突き出ているように見えます。赤矢印の部分です。

歯根の壁に間違って穴をあけてしまうことをパーフォレーションといいます。明らかに遠心壁(エンシンヘキ)にパーフォレーションしています。そしてあろうことかそのままメタルコア(金属の土台)を装着してしまっているように見えます。これまではガッタパーチャポイントが根の先(根尖)から突き出していました。今回のケースではどうもポストが歯根の側壁を突き破っているようです。そこから感染して腫れていると思われます。ポストが突き出ている側の骨はすでに吸収されてなくなっています。黄色の丸で囲んだ部分が左右で違うのが分かります。左側(遠心側)の骨に透過像が確認できます。歯周病でいうところの垂直性骨吸収が生じているように見えます。

赤線の部分まで骨がなくなっています。

このSさんのケースは歯周外科手術を行いました。

APF手術

手術は歯周外科手術の一つAPF手術(apically positioned flap operation)を行いました。経過は良好で下のレントゲン写真は術後13年後に撮影したものです。

治癒

その後腫れる事もなく、なんでもおいしく食べられると喜んでおられました。ポストも撤去され、近遠心(キンエンシン)の骨が平たんになっているのが良く分かります。垂直性骨吸収で生じた骨嚢(コツノウ)も解消されています。赤線の部分です。

Sさん、抜かずに治って良かったですね。