根管治療について 膿が貯まって痛い その15
こんにちは!あおば歯科クリニックの院長昆敏明です!2025年が始まりました。今年もお口で困っている方を一人でも手助けできるように日々努力していきます。何卒よろしくお願いいたします。
本日も根管治療についてお話をしていきます。下の前歯が突然腫れてきて、近隣の歯科医院に行ったところ、切開をして膿を出してもらったKさんのケースです。抗生剤を服用して痛みと腫れは落ち着いたそうですが、このままにしておくか抜歯するかのどちらかだと言われたそうです。どうしたら歯を抜かずにたすけられるのか知りたいというセカンドオピニオンでした。レントゲン写真を撮影したところ、右下1番の根尖に大豆の大きさの歯根のう胞が認められました。触診すると根尖部の骨はすでに破壊されている感触がありました。
赤丸で囲った部分が歯根のう胞です。切開して膿を出したという事ですから、今も膿が貯まているのでしょう。
いつ頃神経の処置をしたかあまり覚えていないという事でした。根充剤が根管の中央う付近までしか入っていないのが分かります。
隣の歯も根充剤が半分しか入っていません。幸い隣の歯は自然に石灰化して根管が狭窄しているようです。腫れていた歯の方は根充剤の先は空洞になっているのがわかります。
なぜこのようなことになってしまったのか、原因と治療法を説明して納得されたので治療を開始しました。病巣の大きさと唇側の骨が破壊されていたことから外科手術を行う前提で保存治療から開始しました。
前医が入れたガッタパーチャポイントを除去し、リーマーを挿入して根管の長さを測定しました。
根尖にピッタリ到達しているのが分かります。
水酸化カルシウム製剤で仮根充したところです。この状態で手術に臨みます。根充は手術中に行う術中根充です。
歯肉を剥離したところです。すでに唇側の骨が破壊されているのが分かります。
違う角度からです。
この後、歯根のう胞を徹底的に掻把しました。
術後8か月後のレントゲン写真です。骨がすでに再生しているのが良く分かります。黒い影が完全に消失しています。
さらに3年と半年後のレントゲン写真です。順調に経過しているのがわかります。
Kさん、治ってよかったですね。今後もお口のメンテナンスを欠かさず継続していきましょうね。