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根管治療について 歯ぐきが腫れて痛い その7

こんにちは! あおば歯科クリニックの院長昆敏明です。

本日も根管外異物(コンカンガイイブツ)についてお話していきます。

今から14年前に治療した40代男性Tさんのケースです。お口には数か所フィステルができており、頑張って治しましょうとTさんを励ましながら治療しました。数か所フィステルを作っていたうち根尖からガッタパーチャポイントが突き出ていた左下5番のケースをご紹介します。

その前に私の実体験の続きをお話しします。

今度は治してもらえるのではないかと期待を抱きながら、「歯の根っこがおかしい気がするので、根をよく見てください」と担当の歯科医師に伝えました。担当してくれた歯科医は30代の男性の歯科医でした。問診をし、触診をしたりした後、レントゲン写真を撮りました。今でも覚えています。その歯科医がシャーカステンにデンタルフィルムをかざして、「根っこは何ともありませんね」「冠だけ変えましょう」と言ったのを。「根は何ともないのでしょうか?」「根は何ともありませんね」「冠だけ変えましょう」 プロが言うことですから反駁できるはずもなく、再度冠だけ交換しました。結果は変わりませんでした。この時点で私は治るのはもうあきらめました。それから数年後、まさかその自分が東北大学歯学部を受験し、歯学部の学生になるなんて当時は想像もしていませんでした。東北大学歯学部生になって、なぜ抜髄が上手くいかなかったのか、なぜ何件も相談に行ったのに治してくれなかったのかという歯科の闇を知ることになるのです。続きは後日お話しますね。

さてTさんです。レントゲン写真を見てみましょう。

ガッタパーチャポイントが突き抜けています。突き抜けているその周囲にはすでに黒い影が生じています。その左下5番の遠心から数センチ離れた歯ぐきにフィステルがありました。根尖からは大分離れている場所です。

かなり深く骨に突き刺さっているのが分かります。赤矢印の部分です。

拡大して見てみましょう。

左下5番の根尖からかなり離れた場所にフィステルがあったため、造影剤をフィステルから挿入し、レントゲン写真を撮りました。

フィステルから挿入した造影剤が左下5番の根尖に向かっているのが分かります。フィステルの原因はやはり突き抜けていた左下5番だと診断できます。

黄色矢印がフィステルから挿入した造影剤です。想像していただきたいことがあります。手や足にニキビのようなおできができているとします。そのおできに爪楊枝を刺して入れたら骨の中まで入ったと想像してください。恐ろしいですよね。それがお顔の骨で生じているのです。

突き出ている部分が長いので、外科手術が必要になる可能性もありました。幸い、保存的に突き刺さっているガッタパーチャポイントを回収することが出来ました。

突き出ていたガッタパーチャポイントが回収されているのが分かります。赤矢印の部分です。

これで外科手術をせずに、治せる可能性が出てきました。下の写真は根管通過法という治療を行っているレントゲン写真です。

根尖から出ている白い不透過像は水酸化カルシュウム製剤です。赤矢印の部分です。

根尖から出た水酸化カルシウム製剤が左下5番の遠心部分の歯ぐきから外へ出て行っているのが分かります。その部分にフィステルがあります。下の赤矢印の部分です。

根尖部分から水酸化カルシウム製剤が出ていくところまで、下あごの骨が破壊されているという事です。

根管通過法(コンカンツウカホウ)についての是非については後日詳しくお話します。根管通過法を行ってはいけないという誤ったメーカーからの情報をうのみにしてはいけないと考えます。私には「メスは危ないので、メスの使用を禁止します」と同じことを言っていると考えています。メスの扱いに慣れていない者がメスを振り回したら危険です。ですがメスに習熟して適切に使用すればこれほど有用なものはありません。

治療して5年後のレントゲン写真です。治癒しているのが分かます。

 

赤矢印の部分です。透過像が消失しています。

12年後のレントゲン写真です。経過良好なのが良く分かります。

黄色矢印部分です。

Tさん長い治療でしたが、治って本当に良かったですね。