親知らず
こんにちは,あおば歯科クリニック 歯科医師の南部です。
5月になりましたね.ちょうど季節の変わり目で気温差が大きく,体調管理が難しいですが,お互い体調に気を付けましょう.
さて,今回のテーマですが,自分が昨年まで歯科口腔外科医として専門でやらせて頂いておりましたので,歯科口腔外科の中でも症例数の多い「おやしらず」についてお話しさせて頂きたいと思います.お時間があればお付き合いして頂ければと思います.
通常,「おやしらず」は18歳から20歳前後にかけて,前から数えて8番目のところに生えてきます.正式名称としては「第三大臼歯」と呼ばれています.
下の写真のように奥歯の一番最後にある歯のことを指します。
歯の名前に「おやしらず」って何か変わってますよね.なぜこの名前がついたのでしょうか.その名前の由来にはいくつか諸説あります.
昔,ヒトの寿命が今のように長くなかった頃に,親が亡くなった後に生えてくる歯,つまり,「親が気付かない間に生えてくる歯」から「親知らず」となったという説.
それから,大人の歯(永久歯)は子供の歯(乳歯)が抜けた後に生えかわりとして生えてくる歯が多いですが,対応する子供の歯がないため,大人の歯を親と考え,親がいない歯,つまり,「親知らず」となったという説もあるそうです.
ちなみにですが,英語では「wisdom teeth (知識の歯)」と呼ばれています.年齢的に物事の分別がつく年頃に生えてくることから「親知らず」は別名として智歯,知歯とも呼ばれています.
「親知らず」でお困りの方もいると思います.通常,「親知らず」は上下左右の計4本あります.でも,「親知らず」の本数が少ない方も,中には1本もない方もいます.
「親知らず」が1本もない方が羨ましいと思った方もいると思います.
なぜ人によって「親知らず」の本数に違いがあったり,生え方に違いがあるのでしょうか.これは,アゴの退化が進んでいると指摘する専門家もいます.
原始時代と比べて,現代人の食べるものが,硬い物から柔らかい物に変化し,アゴが縮小化(退化)してきているようです.
良く言えば「小顔」なのかもしれませんが.
アゴが小さくなるということは歯が生えてくるスペースの確保が難しくなって,その結果,「親知らず」が斜めになってしまったり,真横を向いてしまったり,骨の中に埋まってしまったり,あるいは,歯並びが悪くなってしまうことにつながります.
アゴの退化を受けてか,「親知らず」が全く生えていない人も増えていたり,歯の形の変化や大きさが小さくなったりしているようです.
少し難しい話しになってしまいましたが,「親知らず」が生えてきて心配している方はプラスに考え,アゴが退化していないと考えるべきなのかもしれませんね.
「親知らず」はすべて抜かなくてはならないという事ではないので,「親知らず」でお悩みの方はぜひ,あおば歯科クリニックにご相談下さい.