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あおば歯科クリニック 歯周病 その3 プラークコントロール2

こんにちは!あおば歯科クリニック歯科衛生士の小林です。

小林

今回はプラークコントロールその②になります。

 

前回はプラークコントロールとは何か、主に患者様にしていただく歯ブラシについてお話しさせていただきました。

 

その②は患者様主体のプラークコントロールではなく歯科医師、歯科衛生士などが主体として行うプラークコントロールについてお話ししていきたいと思います。

 

まずプラークコントロールは患者様様が主体となって行っていただくものと私たち歯科医療従事者が主体となって行っていくプラークコントロールに分かれます。

一般的にプラークコントロールというと患者様主体で語られることが多いのです。ですがどんなに一生懸命患者様が努力をしてもプラークをコントロール出来ないことも多いのです。いやむしろできないことの方が多いといっても過言ではありません。例えば庭で土いじりをして、爪の中に土が入ったとします。タワシでゴシゴシこすれば土は綺麗になりますね。これがいわゆる患者様自身によるプラークのコントロールです。ですがもし土が爪の奥深く、例えば6ミリとか8ミリとか入り込んでいた場合はどうでしょうか?ご自身でとれるでしょうか?仮に取れたとして、その深い爪の部分には毎回土が入り込みますよね。その度に爪の奥深いところまで綺麗にできるのでしょうか?できないですよね。これを患者様自身がコントロール出来るようにするために私たち歯科医院が行うもう一つのプラークコントロールというのがあるのです。

 

私たちが主体となって行う…とはどういうことかと言うとなにも歯ブラシのお話をするだけではないのです。

 

例えば皆様のお口の中に俗に言う銀歯はあるでしょうか?

 

銀歯だったり被せ物の人工的に作ったものを歯科の専門用語で“補綴物”(ほてつぶつ)と言います。

 

この補綴物が患者様の歯の形に沿って出来ていればいいのですが、まれに全く合っていないものがあります。

 

歯にただ、ものを被せているだけのもの…歯茎の形に沿っていないものがあります。

 

こういった被せ物のことを不適補綴物、俗にバケツ冠と言ったりします。

 

バケツをただ歯に被せただけのような形をしているのでこういった呼び方をされています。

 

ただ厄介なことにこのバケツ冠は患者様自身ではほとんど気付くことができません。

お食事をされていて特に不自由をきたすこともほぼありません。

 

このバケツ冠、お口の中にあると非常に歯ブラシが難しいです。

 

バケツ冠とご自身の歯の形に出来ていないのでこういった所を磨くのは非常に困難を極めます。

どんなに歯ブラシの技術を身に着けた患者様でも磨き残し、プラークの停滞が生じるのです。

清掃性が劣るということになります。

そうなるとバケツ冠の周りの清掃不良の箇所から歯周病が進行するということが起きてしまうわけです。

せっかく治療した歯が歯周病になってしまうのはもったいないですよね?

 

 

例えば昔治療していて最近久しぶりに歯科へ検診に来ていただいた方。

こういった不適補綴物がお口の中にある場合、あおば歯科クリニックでは補綴物の除去を勧めています。一度治療したところを再治療するのはお互いにあまり気持ちのいいことではありませんが、大事な歯を歯周病から守るためには必要になることもあります。ですからそのような清掃性のことも考えた詰め物やかぶせ物を装着していくのも私たち歯科医療従事者の務めです。

除去と聞くと抜歯?となる方が多いですが抜歯ではありません。

除去はお口の中にある不適補綴物を外していきます。

その後問題なければ患者様の歯の形を整えていき型どりをしていきます。

型どりした後は歯科技工士さんという被せ物を作ってくださる方にお願いをし、出来上がった後は患者様のお口の中で微調整をし付けて終了です。

きちんとした被せ物が出来上がれば歯ブラシもやりやすくなり、ご自身でプラークコントロールができるようになります。

 

このようにプラークコントロールができない被せ物を外して、プラークコントロールができる被せ物を装着することもプラークコントロールなのです。

 

患者様が主体ではなく私たちが主体となって行うプラークコントロールということになります。

 

他にも私たち歯科医院が主体となって行うプラークコントロールがあります。

 

例えばエナメル突起。

エナメル滴、エナメル真珠、エナメルパールとも言います。

写真を見ると非常にわかりやすいと思います。

IMG_5998miho

フラップオペで確認できたエナメル突起の周りに歯石が付着しているのが観察できる

 

ではエナメル突起がらあると何が問題になってしまうのでしょうか?

エナメル突起とは歯の根に出来てしまう解剖学的な構造物のことです。これば丸く真珠のように見えるためエナメル真珠、エナメルパールとも呼ばれています。すべての歯にあるわけではないのですが、歯茎の下にこのエナメル突起が生じると、患者様自身でその部分のプラークコントロールは不可能になります。ですからそこから歯周病が進行し、ポケットが深くなり、骨の破壊が進んでいきます。

エナメル突起が歯の根に形成されてしまうことにより歯茎が歯と付着せず、プラークの停滞の原因になってしまいます。歯周病が進行すると根が二股になって分かれている所まで進行していきます。

この根が、分かれる部分のことを根分岐部と言います。そうなると周囲の組織が破壊され、根分岐部病変という病気になる確率が高くなります。

では根分岐部病変への対応についてです。

エナメル突起などの形態異常の場合は、取り除かないといけません。

また、根分岐部は形が複雑である為清掃もしにくいです。

そのために外科手術をして取り除きお掃除しやすい環境を作ることが必要になってきます。

上の写真は先日、あおば歯科クリニックで行われた歯周病の手術の際に発見したエナメル突起です。左上の第二大臼歯の遠心部分のポケットが8ミリもあり、この部分のポケットを解消する際に、発見されました。幸いその後順調に回復し、重度の歯周病だった方でしたが治癒することができました。

 

以上、プラークコントロールには二つの側面があるということを説明してきました。

歯周病の治療で難しいのはこの二つのプラークコントロールが上手くいって初めて治癒できるということにあります。私たち歯科衛生士は患者様自身によるプラークコントロールが成功するように、歯周病の患者様に対してアドバイスをしたり、モチベーションアップできるように励ましたりしています。

そのためにあおば歯科クリニックでは、患者様おひとりに一人の担当歯科衛生士をつけさせていただいて、最後まで一緒に歯周病を治していくというシステムを採用しています。一人でも多くの歯周病で悩んでいる患者様を救いたいという思いで日々診療しています。