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歯周病とストレス、喫煙、食餌、クラウンとの関係

こんにちは!

あおば歯科クリニックの歯科衛生士の杉山です。

今回、私が担当させていただくテーマは4つあります。

  • 歯周病とストレス
  • 歯周病と喫煙
  • 歯周病と食餌
  • 歯周組織とcrownとの関係

 

少しテーマが多いので長くなってしまいますが、最後まで読んでいただけたら嬉しいです(^^)

 

ではまずは生活習慣(ストレス・喫煙・食餌)と歯周病の関係からお話しをしていきます。

 

  • 歯周病とストレス

今の日本は「ストレス社会」と言われています、実際殆どの方が何かしらのストレスを感じた事がある、またはストレスを抱えているのではないでしょうか。

そんなストレスも歯周病の発症や進行に大きく関係しています。

 

ではストレスがなぜ歯周病を悪化させる原因になるのか、大きく三つにわけて説明をしていきます。

 

その1健康阻害態度(けんこうそがいたいど)

…というと難しく感じますが、要するに「病気になるような行動をとる傾向がある」ということです。

例えば仕事が忙しく心身共に疲弊しているときはつい口腔清掃(歯ブラシ)を疎かにしたり、歯医者での検診を先延ばしにしてしまったり…

みなさんも思い当たる事があるのではないでしょうか?

歯周病の一番の治療は口腔清掃ですから、それが疎かになるということは当然歯周病を悪化させてしまう事に繋がります。

 

その2:免疫機能の変化

免疫とは、身体の外から細菌やウイルスなどが侵入した時にそれらを攻撃・排除して身体を守る仕組みを言います。

ストレスはこの細菌やウイルスの活動に対する免疫反応を減弱させてしまうのです。

歯周病は、歯周病菌によって引き起こされる病気です。強いストレスを感じる事で免疫反応が上手く働かなくなり、歯周病菌が増殖しやすい環境になりますので結果的に歯周病が悪化してしまいます。

 

その3:炎症の化学伝達因子

 

化学伝達因子というのは炎症の急性期(歯周病で言えば歯肉が急に腫れ始めた時)に現れる物質で、IL-1β(インターロイキン1β)、IL-6(インターロイキン6)、PGE2(プロスタグランジンE2)などがあります。

このうちのIL-1βが特に曲者で、どんな悪さをするかといいますと、歯を支えている骨(歯槽骨)の破壊を進め、更に新しい骨が作られるのを阻害します。

私たちの骨は絶えず破骨細胞により古い骨は壊され、骨芽細胞により新しい骨が作られ、減りすぎず増えすぎずの均衡を保とうとしていますが、IL-1βが暴れる事でこのバランスが保てなくなってしまうのです。

ストレスはこの化学伝達因子に影響を及ぼす事がわかっています。

 

ちなみに、ストレスが生まれる原因は抑うつや不安、孤独など人によって様々ですが、中でも「抑うつ」は重度の歯周病と関連していることが認められています。

受験、人間関係、就職活動、仕事や家族の事など生きていれば何かしら悩みやストレスを抱えるものですが健康的な生活を心がけてストレスを抱えにくい心身づくりをしたいですね。

 

 

  • 歯周病と喫煙

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「禁煙」というと耳の痛い方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は喫煙も歯周病と密接な関わりがあります。

喫煙をしている方は、そうでない方に比べて歯周病発症の可能性が2~8倍、歯周病進行の可能性が5~14倍、歯の喪失が2~3倍増加するというデータがあります。

歯周病の一番の治療は「プラック除去(歯ブラシ)」ですが、「喫煙の中止」はそれに次いで重要な事だと言われています。

 

では喫煙と歯周病がどのように関係しているのでしょうか?

 

煙草に含まれる成分が歯周病菌に抵抗する力を弱めてしまう事が研究によってわかっています。つまり、喫煙によって免疫が下がり、歯周病菌が増殖しやすい環境を作ってしまうのです。喫煙者の歯肉の中には非喫煙者に比べて強い種類の歯周病菌がより高いレベルで存在しているというデータもあります。

 

また、煙草の煙は歯肉の血流を収縮させます。ということは、血流量が減って歯肉に栄養がいかなくなるということですから歯周病菌に対する防御力が下がり、またせっかく歯周病の治療をしたとしても効果が出づらくなります。

 

他にも繊維芽細胞(歯肉を作る細胞)の機能の障害、口腔衛生状態の悪化、煙草の煙に含まれる有害な物質によりお口の中への直接的な害があります。

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何よりこわいのが、受動喫煙をした人のお口にも影響が出る事です。

日頃から受動喫煙にさらされている人はそうでない人に比べて歯周病になる割合が1.6倍倍大きい事がわかっています。

ご自身の体のためにも、そして周囲の大切な人のためにも現在喫煙されている方は禁煙をおすすめいたします。

歯周病の状態は、喫煙期間と喫煙量に左右されますので、禁煙をするなら早ければ早い程良いのです。今からでも遅くはありません(*^_^*)

 

  • 歯周病と食餌

歯周病の原因がプラックですが、そのプラックがつくられる原因は「食事」と密接な関係があります。

 

とくにプラックの発生に強く関係しているのが炭水化物など糖が多く含まれる食物です。

糖はプラック中の細菌の栄養源になりますので、菌の増殖を促してしまいます。

普段から炭水化物を多く摂取している人は、そうでない人に比べる歯肉炎になりやすいという研究結果もあります。

 

では、歯周病予防に良い食べ物とはどんなものなのでしょうか?

 

その1:食物繊維

食物繊維が多く含まれる食品は野菜や豆類です。

野菜や豆はしっかりと噛まないと飲み込む事ができませんよね、この「しっかり噛む」ことで唾液の分泌を促す事ができます。

 

唾液には

・自浄作用(食べかすを洗い流す)

・殺菌、抗菌作用(プラックの発生をおさえる)

など歯周病予防のために大切な役割があります。ただ食べ物を飲み込みやすくするためだけのものではないんですね。

ちなみに、このお話は「歯っぴいあおば12月号(院内新聞)」にも詳しく載っております!(^^)!

 

その2:カルシウム

みなさんカルシウムは意識して摂っていますか?

一日、1000~1200㎎の摂取が推奨されていますが、現在の一般的な人々の平均摂取量は500㎎前後ととっても少ないのです。

歯周病は歯を支える骨(歯槽骨)が溶けてしまう病気です、カルシウムが不足することで骨を作る力が弱くなりますから、結果歯周病を進行させやすくなってしまいます。

 

カルシウム=魚や甲殻類、乳製品に多いというイメージですがバジルやタイムなどの香草やニラ、きくらげなどにも多く含まれています。

 

その3:ビタミンD

他のビタミンに比べてあまりパッとしない栄養素ですが実はこちらもカルシウム同様、歯槽骨にとって大切な栄養になります。

 

ビタミンDの仕事は、

・カルシウムの吸収率をUPさせる

・抗炎症作用

・抗菌作用

・免疫調整作用

などなど、歯周病予防にとって優秀な栄養素なのです。

 

ビタミンDの一日の推奨量が800~1000IUに対して、現代の一般的な人々の平均摂取量は300IU前後と大幅に不足しています。

ビタミンDはかつおや焼き鮭、サバなどの魚、しいたけ、豚肉などに多く含まれますが、日光浴でも得る事ができます。日中30分くらい散歩をするだけでも良いそうです。

 

肥満も歯周病のリスクと考えられています。

バランスの良い食事、適度な運動も歯周病予防にとって大切なのですね。

 

ちなみに最近健康番組で癌予防や美容に効果があると話題のコーヒーですが、コーヒーに含まれる「抗酸化作用」が歯周病予防にも効果があると言われています。

お食事のあとに美味しいブラックコーヒーでほっと一息というのも良いですね♪

 

  • 歯周組織とcrownクラウンの関係

 

このテーマについては、「その3 プラークコントロール2」で小林さんも少し書かれていましたね。とてもわかりやすく、素晴らしい記事なので是非そちらも読んでみてくださいね(*^_^*)

 

Crown(クラウン)とは、所謂「銀歯」、金属でできたかぶせ物タイプの歯冠修復物を言います。

 

 

お口の中にすでに入っている方も多いのではないでしょうか?

このクラウンも歯周組織の健康を損なう可能性があります。

 

虫歯などで歯質が大幅に無くなってしまった場合にかぶせる補綴ですが、治療でかぶせたものがなぜ歯周組織に悪影響を与えるのでしょうか?

その理由を大きく5つにわけて説明をしていきます。

 

  • クラウン辺縁の不適合

クラウンの辺縁の不適合というのは、要するに「辺縁のはみ出し(Overhang)」のことで、辺縁が歯肉の中深くに入ってしまっている状態をいいます。

 

辺縁の長さが適切でないことで、プラークを蓄積しやすく、歯周病菌を増加させます。その結果、Overhangを有する歯の周辺歯肉は深い歯周ポケットができやすくなります。

Overhangの程度が大きい程歯周組織破壊の量も大きくなります。

 

実はOverhangの歯冠修復物はかなりの頻度でみられ、全ての歯冠修復物の25%~76%とも言われています。

 

ではどんな形態の辺縁なら良いのでしょうか?

今まで辺縁の位置については様々な意見があったようですが、現在では「歯肉縁上」つまり歯肉の少し上に置くことが望ましいとされています。

 

辺縁を歯肉の上に置くことで、より正確に歯に適合させることができるので、プラックコントロールもしやすく二次カリエスなどのリスクも減らす事ができます。

 

また、Overhangを有するクラウン付近の歯肉は炎症による出血が多々見られます。

その理由はクラウンの辺縁を歯肉の下に位置させることにより、biorojic width(生物学的幅径)が侵されるからです。

 

生物学的幅径とは歯槽骨のてっぺんから歯肉溝底部(歯周ポケットの底)までの距離を言います。

 

この距離が約2㎜である状態が健康的な状態とされています。

この2㎜が侵されてしまうことで歯槽骨を保護するための防壁が崩されて歯周病菌に汚染されやすい状態を作ってしまいます。

 

とはいえ、すべてのクラウンの辺縁を歯肉の上に作らなければいけないというわけではありません。

例えば、審美性が問われる前歯の被せ物、歯頸部に欠損がある場合、歯肉縁かの修復物を被覆する場合、維持強化のためにどうしても歯肉縁かの歯質を覆う必要がある場合、歯頸部の歯根面に知覚過敏がある場合は歯肉の下に辺縁を置く例外もあります。

 

  • Overcounter(修復物の頬舌面の膨隆)

 

クラウンの丸みの度合いです。

少し前まではここの膨らみは大きい方が良いとされていましたが、現在ではプラックを蓄積させる原因になることがわかり、平坦であるべきとされています。

 

  • 接触点と隣接点

 

隣り合わせの歯と接触している部分の位置です。

お隣の歯と接触している点の位置は高くあるべきで、頬側にあるべきとされています。

 

  • Post(ポスト)とmetal core(メタルコア)

 

クラウンとは、直接関係ありませんがこれらも歯周組織と関係があると言われています。

虫歯などで歯の欠損が大きい場合、そのままクラウンをかぶせると十分な保持力を得られずにすぐに外れてしまったり、残りの歯が割れてしまう可能性があります。

そうならないために、土台を入れて歯を補強する必要があります。

その土台を「ポスト」といいます。ポストの材質はレジンだったり金属だったり様々です。

 

現在は金属が大多数ですが、金属の場合腐食が起こり、腐食産物が歯周組織内へ侵入して害を与える危険があるといわれています。

ポストが入っている歯の周辺の歯槽骨はポストの無い歯に比べて歯槽骨の高さが低い、つまり歯槽骨量が減りやすいというデータもあります。

 

とは言っても、虫歯などで歯質を失ってこれからかぶせ物をしなければいけない場合、すでにクラウンやポストがお口の中にある場合は仕方ありません。「何も入れないでおく」ということはできませんので再度虫歯にならないように、歯周病が進行しないようにしっかり普段から口腔ケアをしておくこと、そして定期的に健診にきていただくことでトラブルを未然に防ぐことができます。

クラウンや詰め物などが入っている歯の調子が悪い、違和感があるなどお悩みのある方は是非一度あおば歯科クリニックにお越しください。