狭山市 あおば歯科クリニック 歯周病について 第一回目
こんにちは、あおば歯科クリニックの副院長の昆美由子です。
今月からあおば歯科クリニックの歯科衛生士たちで、普段行っている歯周病治療について少し専門的なお話を歯周病シリーズとして書いていこうと思います。
歯科衛生士として25年ずっと患者様の歯周病と真摯に向き合ってきた私の経験から言えることは、歯周病は治る ということです。実際治らないと言われた患者様を治癒に導き、現在もメンテナンスであおば歯科クリニックに多くの患者様が訪れています。
そのためには正しい歯周病の知識が必要になります。敵を倒すためには敵を知ることから始めないといけません。歯周病がどんな病気でどのようにすれば治癒するのか、治癒した後なぜメンテナンスが重要になるのか等の知識が大事になります。糖尿病を治すのに糖尿病の知識がなければ糖尿病を治すのが難しいのと似ています。
そんな思いから、歯周病とはどんな病気なのかをあおば歯科クリニックの歯科衛生士たちで毎月一回お話していきたいと思います。
まず第一回目は 歯周病は治る というテーマで歯科衛生士の大嶋薫から始めたいと思います。
難しい内容もあるかとは思いますが、なるべく平易にわかりやすく書きたいと思います。あおば歯科クリニックでは歯周病の患者様には院長先生が書いてくださったオリジナルの歯周病説明パンフレットがあります。この冊子を患者様にお渡しして歯周病への理解を促し、私たち歯科衛生士と一緒に治して行くという姿勢を持ってもらうようにしています。この病気は薬を飲めばそれで治るというような単純な病気ではないため、どうしても患者様の努力が必要なのです。
まず、あおば歯科クリニックの歯周病治療は、スタッフが歯周病を治すために全力を尽くしていて、患者様への説明や指導が徹底しています。これは患者様自らが治療に参加して頂ければ治癒する病気だからなのです。
基本治療からオペまで、しっかりとした流れも整っているので、歯科衛生士もやりがいをもって治療に臨んでいます。そのため患者様の御紹介で、歯周病を治したい患者様がたくさん来院しています。
あおば歯科クリニックのレベルの高い治療を基本にして、私自身も歯科衛生士として自信をもって患者様に接することができるようになりました。
歯科衛生士同士でもお互いを高め合いながら、どうしたら治癒するのかと考えることができるようになりました。
さて、当たり前ですが、歯周病は治すことができ、予防することができる病気です。
ですがまだまだ正しい知識などが知られずに、歯を失ってしまう方がとても多いです。
少しでも多くの方に情報を伝えて、お口の健康を守る事が私たちの使命だと思っています。
そのためにも歯周病について、しっかりと患者様に伝えていくことで、全身疾患への影響なども減らし、医療費の削減など衛生士としてできる社会貢献の一つになると信じています。
歯周病という病気についてどんなイメージをお持ちでしょうか?
年をとったらなる病気、治らない病気。そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。また、実際に歯周病になり、治らなくて困っているという方もいるかもしれません。
歯周病は治らない病気ではありません。
最近ではテレビ番組やCMで歯周病についての情報も多く発信され、歯周病についての情報を得る場所も増えてきました。
歯周病という病気について知っている方も多いと思います。
しかしながら、日本人の成人の8割は歯周病に罹患しているという現状があります。
そして、歯周病は歯を失う原因の第1位である事をご存知でしょうか?
虫歯は第二位で、現在も歯を失う原因第一位は歯周病なのです。まずこの事実を知ることが大事だと思います。
患者様から虫歯は何本ありますか というご質問は多く受けますが、私の歯茎は大丈夫でしょうか というご質問をする患者様は非常に少ないです。
なぜ、そのような状況になっているのでしょうか?
これは私たち歯科医療に携わる者の責任として、正しい情報発信をしていかなければいけないと思います。
当たり前のことですが、歯周病は治せる病気です。
ですが、世界中で長い間、歯周病は治らない病気だと考えられていました。
今までに様々な治療法や歯周病の原因が考えられてきましたが、治療をしても治らないという事がありました。
しかし現在、歯周病を治すための基本原則が確立され歯周病は治せる病気となりました。
それでも、歯周病で歯を失う人がとても多いこと、さらに成人の8割の方が歯周病に罹患しているということがあります。
歯周病は、治らない病気ですと聞いた事はありますか?
または、完治はなく、ゴールが見えないなどと聞いた事はありますか?
その中に歯周病についての、現状があります。
歯周病は治す方法や原因はわかっているのに、治すのがとても難しい病気なのです。
歯周病には軽度から重度まで段階があります。
歯肉炎という、歯肉のみに炎症がある状態から、歯を支える歯槽骨などの組織にまで炎症が起きる歯周炎(軽度〜重度、重度では歯を失う)という状態まであります。
2002年に厚生労働省が考えている歯周病治療の具体的な形が示され、初診で歯科を受信したときから治療終了までの説明がされています。
その中で、「歯肉炎」や「軽度から中等度の歯周炎」は「治癒」で終わっているのに対し,「中等度から重度の歯周病」では、「治癒」ではなくて「病状安定」で終わっており、その後に「メインテナンス」があります。
つまり、中等度から重度の歯周炎は治療しても治らないものであり、そのような症例には「メインテナンス」が必要だということになります。
「メインテナンス」も治療の一つと捉えられています。
その事からも、中等度以上の歯周炎について、治すのが難しいという事がわかります。
なぜ治らないのかという原因を考えると、
・歯周病の原因である、プラックコントロールに問題がある。
・非外科的な治療(歯科医院での歯石や原因菌の除去など)に問題がある。
・外科治療に問題がある。
・定期検査と定期処置に問題がある。
という事が考えられるとされています。
プラックコントロールというのは、歯周病の治療の基本となるもので、歯周病の原因であるプラックを適切にコントロールし、歯周病の予防や治療を行います。
このプラックコントロールは患者様自身が行うプラークコントロールと病院で行うプラークコントロールの二つがあります。
患者様が行うプラークコントロールはただ歯磨きすれば良いという簡単な事ではなく、歯周病の原因であるプラックが悪さをしないように、正しい知識をもって何が必要かを理解した歯磨きをする必要があります。
一人一人で異なる口腔状況に合わせた、歯ブラシや歯間ブラシなどの道具や歯磨きの時間など適切な方法を行う必要があるという事です。
そして、それをアドバイス出来るのが、お口のプロの歯科医師や歯科衛生士なのです。
歯周病を治す基本の治療として、徹底した適切な歯磨き指導などを行わなければ歯周病は治せません。
そして、もう一つ大切な事は、自分の口の中がどうなっているのか、炎症している歯肉があるか?深いポケットはないか? という事をしっかりチェックしていく事です。
どんな病気でも言えるように、歯周病も早期発見早期治療が大切です。
重症化するほどプラックコントロールも大変になり、歯科医院での歯石やプラックの除去なども時間や難易度も増し、治すのが難しくなるのです。
さらに、歯周病という病気は原因も明らかになっている病気なので、予防する事も可能です。
成人の8割が罹患しているという状況から、予防もできていないという現状があります。
さらに、歯周病は、身体全体の病気とも関わりがあるという事がわかっています。
歯周病菌が血管を介し、誤嚥性肺炎、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、骨粗しょう症、早産など全身のさまざまな病気に影響しているのです。
また、歯周病は歯周病菌の感染によるものなので、人から人へ伝染する病気です。
パートナー間や、親子間で歯周病菌が感染し、日本では子どもでも半数近くが歯周病菌に感染している可能性があるそうです!
大切な人への感染を防ぐためにも一人一人が歯周病という病気を理解し、治療や予防することが大切です。
歯周病は予防することができ、治せる病気です。
そして、そのために自分のお口の中をしっかりチェックしてくれて、適切な診断や治療、管理の方法などを提供してくれる歯科医院を見つけて定期的にチェックを継続していく必要があるのです。