含歯性嚢胞(がんしせいのうほう) お口の良性腫瘍 その3
こんにちは! あおば歯科クリニックの院長昆敏明です。
埋伏している第二小臼歯の歯冠を取り囲むように嚢胞(のうほう)が乳歯の真下にあります。
嚢胞化(のうほうか)すると正常に萌出出来なくなります。
若年者は正常に萌出する可能性があるならば萌出させる努力をすべきです。
この女の子のケースもご両親とよく相談させていただき、正常に萌出させることにしました。
通常嚢胞(のうほう)の治療法は摘出手術をするか、開窓手術(かいそうしゅじゅつ)をするかの二つの方法を選択することになります。
このケースは開窓手術(かいそうしゅじゅつ)を選択しました。
開窓手術(かいそうしゅじゅつ)というのは、嚢胞壁(のうほうへき)の一部、通常は上部部分だけを切除して嚢胞腔(のうほうくう)を縮小させたり、歯を萌出させたりする手術です。
整列してきました。
あともう少しです。
正常に萌出しました。
Nちゃん、頑張ったね。
このように乳歯と永久歯の交換時期にある、いわゆる混合歯列期(こんごうしれつき)のお子さんでは、まず埋伏している歯を正常な位置に萌出させる努力が必要だと思います。
ただし開窓手術(かいそうしゅじゅつ)をしただけでは、正常な位置に自然に配列することはまずありません。
同時に矯正治療が必要になることがほとんどです。
この女の子のケースも矯正的に歯を正常な位置に誘導しています。
過去に 上の前歯が一本小学校3年生になっても萌出してこない という相談を受けたことがあります。
レントゲン写真を撮影してみると上の前歯が一本嚢胞化(のうほうか)、そのために乳歯が抜けなかったと想像されました。
開窓手術(かいそうしゅじゅつ)を試みましたが、埋伏している永久歯の歯根が90度に屈曲しており、すでに誘導は不可能な状態でした。
結果は嚢胞(のうほう)ごと埋伏歯も摘出となってしまいました。
いたずらに 「様子をみましょう」 は危険なこともあるのです。
つづく