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下歯槽神経 左下の親知らずが痛い その6

こんにちは!あおば歯科クリニックの院長昆 敏明です。

親知らずシリーズも6回目を迎えました。

こんなにお知らせすることがあるとは。

ですが、

これ毎日患者様の治療の際に普段から説明している事なんです。

 

6回目は親知らずの抜歯手術に際して、不測の事態についてお話します。

 

横向きに埋まっている親知らずの事を、水平埋伏智歯と言います。

歯科の大学病院でこの水平埋伏智歯を抜歯手術する専門の科を口腔外科(こうくうげか)と言います。

この口腔外科で抜歯手術する際に手術同意書を書きます。

その一文に、抜歯手術後下あごにマヒが生じる可能性があることが書かれています。

麻痺ってどの程度なのか疑問に思われるでしょう。

ひどい場合は全く感覚がなくなります。

唇、舌、下あご部分の皮膚の感覚がなくなります。

例えば熱いお茶を飲んでも熱いと感じないのでやけどします。

お茶も唇からこぼれてしまいます。

大変重大な後遺症が残ることがあるのです。

 

ではどうしてそんな怖いことが起こるのか?

実は親知らずの根っこの近くに下歯槽神経という下あご全体の神経を支配している太い神経の幹が通っているのです。

この神経、下顎管とも言われるぐらい太いパイプのような神経の幹なんです。

抜歯の時にこの神経を傷つけると麻痺などの後遺症が残るのです。

麻痺までいかなくてもオトガイ部に(オトガイというのは下あごの先の部分の事です)しびれが残ったりすることもあります。

麻痺の経験はありませんが、オトガイ部のしびれの経験は両手ぐらいあります。

自慢になりませんが。

 

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こちらのケースもよく見ると手前の第二大臼歯が虫歯になっています。

白く映っているのが詰めてある金属ですが、その下のほうがグレー色になっているのが分かります。

この歯がしみて痛がっていました。

横向きに埋まっている親知らずの根っこを縦断するようにグレー色の筋が上から下に走行しているのがよくわかります。

これが下歯槽神経です。

親知らずを摘出する際にこの神経を障害すると麻痺などの後遺症が残るのです。

手術時は大変慎重に摘出しますが、お口の奥にあり手術は困難を極めることが多いです。

 

 

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摘出手術後です。

手前の第二大臼歯は神経の処置をしました。

下歯槽神経と親知らずが重なっていた感じが写真からよくわかります。

 

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手前の歯に最終的なお薬を詰めた写真です。

幸いこの患者様は麻痺など生じませんでしたが、痺れが発生しました。

半年ほどオトガイ部が痺れていました。

しびれが生じた際は、神経賦活剤を服用していただきます。

経験上、痺れであればほぼ元の状態に回復するのではないかと考えています。

この方も半年かかりましたが痺れは消失しました。

 

 

当院も歯科用のコーンビームCTを備えています。

当院にあるCT OP300は最新の機種で、被ばく線量が通常のデジタルレントゲンと同じくらいなのです。

このCTのお話は次回にしましょう。

 

 

つづく