CT 左下の親知らずが痛い その7
こんにちは!あおば歯科クリニックの院長昆 敏明です。
親知らずの抜歯手術の際、重大な後遺症として下あごの麻痺が出現することがあるというのが前回のお話でした。
今までご覧いただいてきたレントゲン写真は立体のものをすべて平面で見ているのです。
ボールの球を平面に投影したら円にしか見えませんね。
本当は球体なのに従来のレントゲン写真では円にしか見えないということなのです。
ですから今まで分からなかった親知らずと下歯槽神経の立体的な位置関係が見えるようになるということです。
ですが、CTがあるから安全に早く抜歯手術ができるかというとそれは違います。
大学病院は当然CTを完備していますが、それでも麻痺の事故は起きています。
CTはあくまでも診断の補助でしかありません。
CTが導入されたその日から突然抜歯手術がうまくなるわけありませんよね。
むしろCT撮影を行ってこれは危ないので大学病院を紹介しますというケースのほうが多いのではないでしょうか。
いずれにしても親知らずの抜歯というものは私たち歯科医師にとって避けては通れない手術の一つです。
そして私たち歯科医師にとってストレスの多い手術であるのは間違いありません。
私の尊敬する飯塚哲夫先生のお書きになった論文からの一説をご紹介したいと思います。
「アメリカ歯科医師会雑誌の1991年12月号に、”Dentists married to dentists”という記事が掲載されている。そこには、歯科医師が歯科医療を行うことによって蒙るストレスを癒す家庭や配偶者の必要性について言及した次のような文章がみられる。
「あなたは、診療所で特にストレスに満ちた日を持ち、水平埋伏智歯を抜歯することの困難さを真に理解する配偶者の待つ家庭へ帰ることができたら、と望んだことがありますか」」
以上は飯塚先生の論文からの引用です。
これを読んでも歯科医師が親知らずの抜歯にストレスを感じているのは日本の歯科医師だけではないことがお分かりいただけるでしょう。
患者様はたかだか抜歯という認識の方が多いです。
抜歯は手術なのですよ
と説明すると
「え~そうなんですか~?」
という反応が多いのです。
まぎれもなく抜歯は手術です。
ですので
あおば歯科クリニックでは抜歯を含めた口腔外科手術を通常の歯科診療室とは別の手術室で行っているのです。
そして外科手術というものは予測していなかったことが起こることがあるのですが、抜歯手術ほどその予測外のことが起こる率が高いのでは
と実感しています。
その予測外の事をできるだけ最小にしてくれるのがCTだという認識をしています。
つづく